Yappli オンラインセミナー
現場の安全管理と業務効率化を推進する一手
安藤ハザマがアプリで実現する情報活用術
Yappli オンラインセミナー
現場の安全管理と業務効率化を推進する一手
安藤ハザマがアプリで実現する情報活用術
現場の環境改善が常に叫ばれている建設業界。同社でも例外なく、『現場職員の安全知識を効率的に学べる機会が減っている』『従来の教育方法(イントラや冊子)では検索性や利便性が不足している』『教育内容が属人的で、全員に平等に伝える仕組みがない』など課題を抱えていました。現場の中で、より生産性を高め、労働時間を圧縮していくためにどのような対策ができるか。本セミナーでは、自社アプリを活用した現場の安全管理と業務効率化に取り組む株式会社安藤・間社の事例をご紹介します。利用者の9割以上が「現場業務で有効」と回答している自社アプリ『築造』。どのような活用ができるのか、具体的な事例をもとに詳しくお話を伺います。
【セミナーレポート】
安藤ハザマがアプリで実現する現場の情報活用術とは?
・働き方改革で現場の教育時間が確保できず、若手への直接指導が困難な状況に
建設現場では、働き方改革による労働時間の削減や人手不足により、従来のベテランから若手への直接指導を中心とした教育体制の維持が難しくなっています。
安藤・間様(以下、安藤ハザマ様)は、現場の生の声に基づいた新しい教育の仕組みづくりに着手し、首都圏14カ所の建設現場での詳細なヒアリングを実施。
「知識の一元化」「迅速な情報検索」「効率的な知識習得」などの改善ポイントを明確化し、アプリの導入を決定しました。
2024年3月に運用を開始した現場専用アプリは、動画による分かりやすい教育コンテンツの提供や、必要な情報への即時アクセスを実現。
社内アンケートでは、全社員の92%が「現場業務において有効」と回答しています。
同社のDX推進部 ICT推進グループ 課長の長谷川様に、現場の課題解決に向けた取り組みについて詳しくお話を伺いました。
※このセミナーレポートは2025年2月14日に実施した「現場の安全管理と業務効率化を推進する一手|安藤ハザマがアプリで実現する情報活用術」の内容を基に作成しています。
––まず、建設現場の業務内容について教えていただけますでしょうか。
長谷川さん:建設現場では、私たち元請の社員がお客様から設計図書を受け取り、それをもとに工事を進めています。
その中で安全管理、品質管理、施工管理など、多岐にわたる業務を行っています。
また、専門的な工事は協力会社の方々と一緒に進めていくため、一つの現場に多くの関係者が関わっています。
危険な作業や環境も多いため、事故を防ぐための安全教育が非常に重要なんです。
以前は、ベテラン社員から若手への直接指導を中心に教育を行っていました。
––現在はその教育体制に課題があるということですか?
長谷川さん:はい。大きく3つの課題に直面しています。
1つ目は「教える時間の確保」です。
働き方改革により労働時間が削減され、ベテラン社員が若手に教育する時間を十分に取れなくなってきました。
若手社員も日々の施工管理業務で精一杯で、基礎を学ぶ時間が不足しています。
2つ目は「人材不足」です。
建設業界全体で人手不足が深刻化し、建設業未経験の派遣社員も増加しているため、基礎からの教育がより重要になっています。
3つ目は「教育コンテンツの分散」です。
安全ルールの冊子、法令関連の書籍、教育用動画、各部門のマニュアルなど、学習用の資料が多岐にわたりますが、これらがバラバラに管理されているため、
必要な情報にすぐアクセスできないことが現場の大きな課題となっています。
––その課題を解決するために、どのような取り組みをされたのでしょうか。
長谷川さん:まず現場の生の声を聞くことから始めました。
1ヶ月で首都圏の14の建設現場を回り、詳しいヒアリングを行いました。その後、全社アンケートも実施しています。
長谷川さん:このヒアリングから、4つの改善ポイントが見えてきました。
1.現場で必要な知識を1カ所に集約すること
2.バラバラな教育コンテンツを一本化すること
3.必要な情報をすぐに見つけられる検索の仕組みを作ること
4.正しい知識を素早く確実に習得できる仕組みを作ること
特に意識したのは、現場で本当に使えるものを作ることです。
というのも、建設現場では新しいICTツールへの抵抗感が少なくありません。
「また新しいものを覚えなければならない」「今のやり方を変えるのは面倒だ」という声もよく聞きます。
そこで、誰もが持っているスマートフォンを活用し、現場のニーズに合った誰にでも使いやすいアプリを作ることを検討し始めました。
––アプリという選択肢に至った経緯を教えていただけますでしょうか。
長谷川さん:検討のきっかけは、「プロジェクト立ち上げから1年以内」という期限でした。
これまでの教育コンテンツを新しい形で提供する仕組みを、短期間で構築する必要があったんです。
その過程で、現場へのヒアリングやアンケートを実施したところ、スマートデバイスの利用が想像以上に定着していることがわかりました。そこで、コンテンツ提供の手段としてアプリの可能性を探り始めたんです。
––開発手法を決める際は、どのような点を重視されましたか?
長谷川さん:まず重視したのは開発期間の短さです。スクラッチ開発では1年という期限に間に合わない可能性が高く、既存のプラットフォームの活用を検討しました。
また、現場で必要なコンテンツをどう見せるか、どう提供するかという要件を満たせるかも重要でした。作って終わりではなく、継続的にコンテンツを追加・更新していく必要があります。開発の専門知識がなくても運用できることが必須条件だったんです。
––最終的にYappliを選定された理由は?
長谷川さん:ノーコード開発のプラットフォームをいくつか比較検討しました。検討の過程では、特に「実現したい機能」「開発期間」「運用のしやすさ」という3つの観点で評価を行いました。
長谷川さん:実現したい機能については、コンテンツのカテゴリ分けや検索機能、動画や資料の閲覧履歴管理など、教育コンテンツの配信に必要な要件を満たしていました。また、社内のセキュリティ基準もクリアできる点も大きかったですね。
特に重視したのは運用面です。プログラミングの知識がなくてもコンテンツの追加や更新ができる点は、現場のニーズに迅速に対応できると考えました。また、開発から運用までのサポート体制が充実していることも、短期導入と安定運用の両立という観点で重要なポイントでした。
––アプリの特徴を教えてください。
長谷川さん:2024年3月末にリリースした現場専用アプリ「築造」は、現場職員はもちろん、内勤の技術系職員からも高い支持を得て、1,600ダウンロードを達成しました。アプリの周知にあたっては、プロジェクトメンバーが自ら出演する30秒のCMを制作し、本支店のデジタルサイネージで放映しています。
––現場での使いやすさを重視したソリューションを強く意識されていますね。内勤の技術系職員の利用は想定外だったのでしょうか?
長谷川さん:そうですね、元々は現場職員をターゲットにしていたので、内勤の方々にも実際に使っていただけているのは嬉しい誤算でした。アプリの設計で、若手からベテランまで幅広い年齢層が活躍する現場の特性をできるだけ汲み取るようにしていたことが良かったのだと思います。ボタンや文字サイズを大きく見やすくするなど、シンプルで直感的な操作が可能な画面構成を目指しました。
––使いやすさを追求される中で、コンテンツの方向性にも変化があったと伺いました。当初の想定から範囲を広げられた理由は何だったのでしょうか?
長谷川さん:当初は安全に特化したアプリとして構想していましたが、現場で必要な情報は多岐にわたります。そこで、安全、品質、健康など、様々な分野のコンテンツを一本化することにしました。
––インフルエンザ予防から品質管理まで、かなり幅広いコンテンツが用意されていますね。
長谷川さん:はい、特に安全コンテンツは最も情報量が多く、約10年分の災害事例をライブラリ化しました。特に災害事例については、若手職員から「紙の報告書だけでは事例のイメージが難しい」という声があり、動画形式でわかりやすく解説するようにしています。電子書籍の機能を活用し、資料の拡大表示も可能にしたところ、ベテラン職員からも「紙よりも見やすい」と好評です。
––400件を超える動画コンテンツには驚きました。制作にあたって工夫されている点はありますか?
長谷川さん:動画制作にあたっては、現場職員へのヒアリングやアンケートを通じて、「どういう動画なら見てもらえるか」を徹底的に調査しました。その結果、現場が忙しい環境であることを考慮し、「5分以内」という時間制限を設けています。また、字幕や音声をつけるなど、わかりやすさを重視した制作ルールを確立しています。これらの動画は、若手職員の理解度向上だけでなく、協力会社への安全教育でも活用されています。
––現場の実態に即したコンテンツ作りを心がけているのですね。
長谷川さん:そうです。プロジェクトメンバー4名による内製での制作が中心ですが、アニメーション制作など一部のコンテンツは外部に委託しています。また、健康関連のコンテンツは診療所など、社内の関連部署と連携して制作しています。リリース以降、新規で67件の動画を追加しました。動画の企画は各部署からの要望を受け、我々が具体的な内容に落とし込んでいく形で進めています。
––これまでは情報が散在していたと伺いましたが、アプリ導入前後で、現場の方々の情報アクセスはどのように変化したのでしょうか?
長谷川さん:主にイントラネット上でしたが、安全部や事務部門など、それぞれのページに散在していた状態でした。現在は「築造」で一元管理することで、必要な動画にすぐにアクセスできる環境を実現しています。また、タグ付けによる関連情報の紐付けも、Yappliの機能を活用することで簡単に実現できています。
ー現場での活用状況と導入効果について教えてください。
長谷川さん:リリース3ヶ月後の全社アンケートでは、72%のユーザーが月1回以上利用しており、半数以上が週1回以上利用しています。特筆すべきは、94%のユーザーが「操作が簡単」と回答し、年齢を問わず活用されている点です。
ー具体的な利用シーンはどのような状況でしょうか。
長谷川さん:54%が現場での利用で、通勤時間や休憩時間などの隙間時間での活用も多くあります。現場と事務所が離れている建設現場の特性上、必要な情報をその場で確認できる点は、業務効率化に大きく貢献しています。現場での有効性については、実に92%という極めて高い評価を得ています。
ーアプリが現場業務に不可欠なツールとして定着しているということですね。現場からの声はいかがでしょうか。
長谷川さん:主に3つの点で高評価を得ています。1つ目は、安全ルールや法令情報など、必要な情報への即時アクセスが可能になった点です。2つ目は、動画コンテンツがわかりやすく、安全教育の資料としても活用できる点。3つ目は、デジタルサイネージとの連携が容易になり、安全事項の周知が効率化された点です。
ー特に安全教育面での活用が進んでいるようですね。
長谷川さん:はい。当初は個人の知識習得を目的としていましたが、協力会社との情報共有ツールとしても活用されるなど、想定以上の効果が出ています。これは開発時に現場のニーズ調査を丁寧に行い、実際の声を反映させた結果だと考えています。
––今後の展望についてもお聞かせください。現在検討されている施策などはありますか。
長谷川さん:現在、大きく3つの方向性を考えています。1つ目は、更なるコンテンツ拡張と情報集約です。現場業務に関わるあらゆる情報を「築造」に集約し、必要な知識や情報を何でも検索できる安藤ハザマの『現場辞典』として進化させていきたいと考えています。
––『現場辞典』という表現が非常に印象的ですね。
長谷川さん:2つ目は、現場職員とアプリを共に育てていくという方針です。現場からの意見や要望はもちろん、若手職員のアイディアも積極的に取り入れていきたいと考えています。現在は情報閲覧型のアプリですが、今後は職員全員が参加できる双方向型のプラットフォームを目指しています。
––現場の声を大切にしながら進化を続けていくということですね。
長谷川さん:その通りです。そして3つ目が最も重要ですが、「アプリの力で労働災害をゼロに」することです。人手不足や労働時間の制約がある中で、現場教育の課題は深刻化しています。アプリを通じて効率的に正しい知識を習得し、それを現場で活かすことで、全ての職員が安全に働ける環境を作っていきたいと考えています。
––安全な現場づくりという明確なビジョンを持って、アプリの発展を目指されているのですね。
長谷川さん:はい。この使命感を持って、今後も現場の皆さまとともにアプリを育てていきたいと考えています。
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株式会社 安藤・間(呼称:安藤ハザマ)について
建設業界のリーディングカンパニーとして、土木・建築分野で高度な技術力を誇る総合建設会社。「安心、安全、高品質」な社会インフラの構築に取り組み、ダムや橋梁、トンネルなどの大規模土木工事から、超高層ビルや商業施設などの建築工事まで幅広く手がける。特に技術開発に力を入れており、ICTやデジタル技術を活用した建設DXの推進にも注力している。
企業サイト:https://www.ad-hzm.co.jp/
現場専用アプリ「築造」
安藤ハザマ様のアプリは、従業員エンゲージメント向上サービス「Yappli UNITE」を活用し、構築しています。
◾️Yappli UNITEについて (https://yapp.li/yappli-unite/)
Yappli UNITEとは、2023年8月にスタートした従業員エンゲージメント向上サービスです。ノーコードで開発・運用・分析が可能なアプリプラットフォーム「Yappli」と「Yappli CRM」を組み合わせて構築する自社アプリを通じて、組織と従業員をより簡単・セキュアにつなげます。具体的には、社内施策をアプリ上で実行し、スマートフォン経由で従業員にダイレクトにアプローチすることで、エンゲージメントを向上させ、活気ある強固な組織作りをサポートします。
◾️株式会社ヤプリについて
本社所在地:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階
エリア支社:グランフロント大阪北館8階(大阪)、Signature 福岡大名ガーデンシティ8階(福岡)
代表者:庵原 保文
事業内容:「Yappli」「Yappli CRM」「Yappli UNITE」の開発・提供
URL:https://yappli.co.jp